「ベルギーの精神医療改革は、遠い国の話ではありません。日本でも何かできるはずです。我がこととして聞いてほしい」
相模原市内で2月初旬に開かれた、看護師や相談支援専門員らが精神医療について語り合う勉強会。「訪問看護ステーションWing」(横浜市)の管理者を務める増子徳幸さん(48)は、講師として語りかけた。
増子さんは昨年10月、ベルギーの精神医療改革を知ろうと、医師や看護師らでつくる視察団に参加。3日間、入院治療から地域ケアへとかじを切る精神科病院などを訪ね、動画製作のためにカメラを回し続けた。
私が私であるために~ベルギーの精神医療改革
日本と同じように、精神科医療を多くの民間病院が支えているベルギー。「本人中心」の理念をもとに地域医療へと軸足を移し、長期の入院を減らそうとしています。どんな取り組みなのでしょうか。日本の医療・福祉分野の関係者とともに現地を訪ねました。
精神科病院から地域に移って暮らす精神疾患のある本人宅を訪問する「モバイルチーム」について語る医師や心理士。病院や福祉関係者らが連携する地域ネットワークの要となるコーディネーター。24時間365日相談を受け付ける総合病院の取り組み……。
増子さんは、一部を抜粋し、写真やスライドも交えて、「本人中心」「共同創造」といった改革の理念やその基盤となった世界保健機関(WHO)の考え方、精神科医らの反対など様々な課題に向き合った改革の歴史、政府からのトップダウンだけでなく、本人らが参画するボトムアップでの政策決定の重要性などを1時間超にわたって紹介した。
「意識を変えれば、地域は変わっていける」
参加者からは「過度な医療に…